コロナ禍のせいで自分の部屋で作業をすることが多くなった．
学校や職場とは異なり，緊張感が緩むせいか，集中していると慣れ親しんだ自室の広さがバグを起こしたように大きくなったり小さくなったように感じることがある．
それは自分の意識や思考が宇宙のように拡張してるときなのかもしれない．

本作は，投影する映像を工夫することで，ドーム空間の奥行感を狂わせるような体験の提示を目指した作品である．
そのことで，上記テーマを体験できることを目標としている．

具体的には，投影映像に凸レンズのエフェクトを施すことで，CGレンダリングエンジンで用いられる凸レンズのカメラを利用したレンダリングとは異なった雰囲気の凸レンズの効果となり，映像の奥行き感を狂わせるような映像となる．
その効果をCG（一部実写）に織り交ぜ投影することで，空間が歪んでいるような，映像に圧迫されるような感覚が得られることを期待している．
また，映像にあえて回転するパートを組み込むことで，座席が動いているかのような，宇宙にいるような浮遊感の演出も狙っている．

組み込まれている映像は，自室のメタファーとする照明の写真とそれを加工した映像，またその映像を基に制作したCGをを使用している．さらにCG映像をデータモッシュさせてノイズ化した映像も利用している．これは自身の思考のメタファーであると共に，空間の広がりと歪の演出を目的としている．

また，BGMについては本作の映像が完成した後に応募者によって作曲された音楽を使用している．使用しているノイズ音はエンコードした本作の映像データをWAVファイルに読み替えることで作り出したノイズ音を利用している．これも空間の歪みのメタファーとしての表現を目的とした．

iPhone, MacBook Pro, Max8, Adobe Premiere.