TITLE

粒子の軌道

  • TypeCG
  • 音声
  • CONCEPT
    物理学において、古典力学系の典型としてビリヤード系が良く知られている。一般に娯楽や競技で用いられるビリヤード台では、境界が長方形であり、球(粒子)の運動は規則的であるため、熟練した人なら球の軌道はある程度正確に予測が可能である。ところが、長方形を一対の半円で挟んだ競技場(スタジアム)型のビリヤード台では、球の運動は不規則(カオス)的になり、球を打ち出す方向の僅かなずれ(初期条件)の影響を大きく受けるため、プロのハスラーの腕をもってしても球の軌道を予想することは非常に困難になる。しかし、何れの形状のビリヤード台でも、球は厳密な物理法則に従って決定論的に運動しており、球の運動がカオス的な場合でも決して気ままででたらめな確率的運動をしているのではない。
     競技場型のビリヤード台は、典型的な古典カオス系として、より良く忠実にカオスを表現できる。その特徴の一つとして、時間と共に球の軌道が領域内を隈なく埋め尽くすエルゴード性という性質がある。そこでは、球の軌道が描く極微細構造が見られ、超高精細映像技術により初めて表現できる。この作品では、計算機を用いて運動方程式を解くことにより、競技場型のビリヤード台の上を運動する球の軌道を数値的に求める。そして、理論物理学者が頭の中でイメージする「カオス」の特徴を8K超高精細大型映像により表現する。
  • 制作環境
    高性能パソコン
  • Organization
    福山市立大学
  • 応募者
    プロフィール
    • 石尾広武

      福山市立大学都市経営学部教授。1990年京都大学工学部電気工学科卒。1995年京都大学大学院理学研究科で博士(理学)号取得。主な研究分野は、カオス理論、量子力学の基礎論、計算物理学、そしてヒューマン・コンピュータ・インタラクション(3D、VR、AR、4K/8K超高精細映像など)。
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